一匹小羊の日記  kind of a recluse

群れるの苦手な自称小羊のひきこもりの日々を書きます

桐野夏生「砂に埋もれる犬」を読んで

小学生の主人公は、母親からネグレクトされていて、学校に行っていない。


その母親は何日も家を空けて、男と遊びに行ってしまうので、


いつも空腹で、父親が違う弟と二人で暮らしている。


小説とはわかってはいるが、なんとかこの子のお腹を満たしてあげたいと思った。


やがてこの男の子は、里親に引き取られるのだが、それでめでたしめでたしとならないのが


桐野夏生小説。


里親はとてもいい人で、ソーシャルワーカーさんもいい人。


でもこの男の子はねじれていく。もう食べるものにも住む場所にも苦労しないのに。


砂に埋もれる犬
砂に埋もれる犬
朝日新聞出版
Digital Ebook Purchas

小説の最後に男の子は言う。


【大人たちは学校に行け友達を作れと。それができないのは


お前(男の子)のせいだという】


飢えることもない、寒い思いをしなくてもいい、勉強もできる環境なのに


足りない何かを、その足りない何かは犯罪なのに求めてしまうのは、


幼少期の環境によるところからかなのか


この少年は幼少期から ネグレクト、母親とその恋人からの暴力下にいたから


大人の顔色ばかり見てきて 一番大切なことを学んでこなかった。


一番大切なこととは・・私はやはり愛情だと思いますが、


里親の父親は少年に社会のルールとか常識を教えます。


ネタバレになりますが、里親の母親はこの少年に刺されてしまいますが


命懸けでこの少年を救ったのだと思う。これが愛と思う


昔は「愛で飯が食えるか・・」と思っていて、今も確かにそう思うが


この少年は恵まれた生活を送れていても満たされなかったのだ。


でも愛情深いこの里親の母親のおかげでこの少年はこれから変わると思う


勝手な私の感想です